部活動の顧問としての活動 「全くの自主的活動であったとはいえない」 富山地裁 判決が確定

7年前、富山県滑川市で、40代の中学校の教員がくも膜下出血を発症して亡くなったのは、部活動の顧問の活動などの長時間労働が原因だとして遺族が賠償を求めた裁判で、2023年7月5日、富山地方裁判所は市と県に合わせて8300万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。県と市は期限の7月19日までに控訴しなかったため、判決が確定しました。

公務災害の認定をする「地方公務員災害補償基金」が長時間労働による過労が原因だったと認定しており、遺族は、教員がクラスの担任や部活動の顧問の活動など、過重な長時間労働が原因で亡くなったのは、学校側が安全配慮の義務を怠ったからだとして、市と県に合わせて1億円余りの賠償を求める訴えを起こしていました。

一方、市側は「部活動は教員の自由裁量に委ねられるため、安全配慮の義務違反にはあたらない」などと主張していました。

判決で、富山地方裁判所の松井洋裁判長は「教員が勤務時間外に行った部活動の顧問としての業務は、教員としての職責を全うするために行われたもので、全くの自主的活動であったとはいえない」と指摘しました。

そのうえで「校長は、教員が心身の健康を損なわないよう安全に配慮する義務を負うが、教員の負担を軽減するための是正措置がとられたとはいえない」などと指摘し、市と県に合わせて8300万円余りの支払いを命じました。