川崎市立小学校プール水流出事故 川崎労連 再度要請

2023年12月25日 川崎労連、再度市長らに要請

 川崎市教育委員会が市立小学校プールの水流出事故で教諭らに計約95万円の賠償を請求した問題で、川崎労働組合総連合(川崎労連、児玉桃太郎議長)は12月25日、小田島満教育長に宛て請求を撤回するよう再度申し入れました。

 申し入れは、川崎労連と加盟14単組が共同で請求の撤回などを求めた9月の申し入れに対して、教委が出した回答は「納得できない」として、
●教員に賠償責任がないことを認め、請求を早期に撤回し納金された賠償金を教員に返還する
●学校のプール関連装置の操作に関して、不備があれば改善し安全で安心な労働環境を整備する
ことを改めて強く求めました。

 同労連の吉根清博事務局長は「故意や重過失によらない損害について労働者に賠償請求するのは納得できません。今でも公立学校の多くの教貝は過重過密労働に苦しんでおり、本件のような損害賠償請求が横行すれば教員はさらにプレッシャーと負担を負うことになります。教員や子どもたちが安全にのびのびとプール授業を行うためにも、不当な損害賠償請求の撤回と安全面の改善がなされることを願っています」と語りました。

プール水流出事故とは

2023年5月、市立稲田小学校(多摩区)の教員がプールに水を張る作業で失敗し、5日間水が出っぱなしになった事故が発生しました。

操作した教員は、プール開きに向けて注水するため、操作盤の注水スイッチと同時にろ過装置を作動したため、警報音が鳴り、警報を止めるためにブレーカーを落とし、止水のために注水スイッチも落としました。しかしブレーカーが落ちていたため、注水スイッチは機能せず、注水は継続したということです。

市は、「止水を確認しなかったこと」、「正しい操作方法の確認を怠った」などの過失があるとして、民法第709条の「故意または過失がある場合は賠償責任を負う」という規定に基づいて、その損害約190万円の半額を校長と教員に民報第709条の賠償責任を課しました。

背景

市は「正しい操作方法の確認を怠った」として、教員の過失があったとしています。しかし、今回のケースは、取扱説明書もなく、唯一、注意書きがついた装置の写真1枚のみが機械室に置かれており、それに沿って操作を実施しました。シーズン最初にその写真の注意書き通りに実施すると注水とろ過装置を一緒に作動させるため、必ず警報が鳴ります。実際、昨年も同じように操作をして警報が鳴ったということですから、誰がやっても写真の注意書き通りやると警報が鳴るということです。プールの装置の説明は年に1回のみ行われますが、この教員は、この説明を受けておらず、シーズン最初の作業は初めてだったにもかかわらず、この業務を指示されたということです。

全国では対策をほどこしていた

 全国では、数年前からプールの問題が多発しており、その対策として例えば東京都は2度の通達を出して、適正な管理、事故防止策や実施状況の点検などを徹底していました。

 市は、事故の後に「年度当初のプール使用開始前に、機器の説明や給水も含めた装置操作方法を確認する」と回答しており、今回のケースのように年度当初の機器の操作説明や取扱説明書などを全学校に徹底してこなかったことを認めました。さらに市は、取扱説明書の配備状況も把握しておらず、今になって調査していますが、配備していない学校は4割近くになるということです。全国でプール流出問題が出ていて、多くの学校で同じような事故が発生する可能性があるのに、市は何ら対策を取らず、この状況を放置していたことになります。

教育長 賠償に固執

9月14日の川崎市議会本会議で教育長は、「発生予防への配慮が十分でなかった」と認めてマニュアルの一部改訂、研修などを行うと答えました。

この間の質疑で、市教委が「今回の事案は故意や重過失には当たらない」と答弁したにもかかわらず、その一方で、教員に過失があるとの判断に固執しました。

川崎市教職員連絡会 要望書提出

教員や元教員らでつくる「川崎市教職員連絡会」が21日、「過重な個人賠償請求の撤回を求める要望書」と1万3124人分の追加署名を小田嶋洵教育長と福田紀彦市長宛てに提出したとのこと。(20日時点での累計は1万6964人分)

大前博事務局次長は「14日の市議会でどのような形で流出事故が起きたのか明らかにされた。市が言う教員の過失ではなく市のずさんなリスク管理に主な原因があるのではないか。このことの検証抜きには、本当の意味での対策は出てこない。不当な賠償請求を撤回して対策をたてることを求める」と要望書の提出について語りました。

そもそもプール管理は教員の仕事なのか?

 教員の過重労働について、船津了事務局長は 「そもそもプール管理は教員の仕事なのか。教員の管理強化ではなく、教貝の仕事を減らし安心して教育活動に専念できる対策をしていくことが市教委の役割。専任のプール管理員の配置を求める」と述べました。

他の自治体では

宮城県 富谷市

宮城県富谷市は9月22日、市立東向陽台小で25メートルプールの水が13日間にわたって出しっ放しになり、約200万円の損害が生じたと発表した。教員らの止水操作が不十分だったという。ただ操作マニュアルに不備があったことなどから重過失はないとして、損害賠償は請求しないとしている。

 市教育委員会によると、教員らは4月27日に水漏れ確認のためプールへ水を入れ、間もなく元栓などを閉じる操作をした。ただ完全に閉まっておらず、凍結防止用の水抜き栓から漏水。市上下水道課が5月9日に指摘するまで約10杯分が流れ出た。

 水抜き栓は別操作で水を止めることもできたが、マニュアルに記載がなかった。