核兵器禁止条約批准 50ヵ国に達成 条約の発効へ

2020年10月24日、ホンジュラスが批准し、条約の発効に必要な50ヵ国になりました。条約は90日後の2021年1月22日に発効されました。

核兵器禁止条約発効から2年

2022年9月23現在 批准は68ヵ国に達しました。

批准の68ヵ国

アジア 10

 タイ(2017年9月20日)、ベトナム(2018年5月17日)、ラオス(2019年9月26日)、モルディブ(同)、バングラデシュ(同),マレーシア(2020年9月30日)カンボジア、フィリピン(2021年2月18日),モンゴル(2021年12月10日)、東ティモール(2022年6月20日)

大洋州 10

 パラオ(2018年5月3日)、ニュージーランド(2018年7月31日)、クック諸島(2018年9月4日)、サモア、バヌアツ(2018年9月26日)、キリバス(2019年9月26日)、フィジー(2020年7月7日)、ニウエ(2020年8月6日)、ツバル、ナウル、コロモ(2021年2月19日

中東・北アフリカ 2

 パレスチナ(2018年3月22日),カポベルデ(2022年6月20日)

アフリカ 15

ガンビア(2018年9月26日)、南アフリカ(2019年2月25日)、ナミビア(2020年3月20日)、レソト(2020年6月6日)、ボツワナ(2020年7月15日)、ナイジェリア(2020年8月6日)、ベナン(2020年12月11日)、コモロ(2021年2月19日)、セーシェル(2021年7月12日)、ギニアビサウ(2021年12月15日),コートジボワール(2022年3月23日),コンゴ(2022年5月17日)、マラウイ(2022年6月30日),コンゴ(2022年9月22日)、ドミニカ共和国(2022年9月22日)

中南米・カリブ海 25

 ガイアナ(2017年9月20日)、メキシコ(2018年1月16日)、キューバ(2018年1月30日)、ベネズエラ(2018年3月27日)、コスタリカ(2018年7月5日)、ニカラグア(2018年7月19日)、ウルグアイ(2018年7月25日)、セントルシア(2019年1月23日)、エルサルバドル(2019年1月30日)、パナマ(2019年4月11日)、セントビンセント・グレナディーン(2019年7月31日)、ボリビア(2019年8月6日)、エクアドル(2019年9月25日)、トリニダード・トバゴ(2019年9月26日)、ドミニカ(2019年10月18日)、アンティグア・バーブーダ(2019年11月25日)、パラグアイ(2020年1月23日)、ベリーズ(2020年5月21日)、セントクリストファー・ネビス(2020年8月9日、ジャマイカ(2020年10月23日)、ホンジュラス(2020年10月24日),チリ(2021年9月24日)、ペルー(2021年12月23日),グアテマラ(2022年6月13日)、グレナダ(2022年6月20日)

欧州 5

 バチカン市国(2017年9月20日)、オーストリア(2018年5月8日)、サンマリノ(2018年9月26日)、アイルランド(2020年8月6日)、マルタ(2020年9月21日)

中央アジア 1

 カザフスタン(2019年8月29日)

※クック諸島は、同条約に調印せずに加入書を国連に寄託しました。加入は批准と同じ法的効力を持ちます。

署名:条約の内容について、国家の代表者が合意すること。
批准:国家として条約を締結する意思を議会の承認を得て最終的に決定すること、つまり各国が内容を吟味した上で、その条約に加盟することを指します。

2022年6月21~23日に第1回核兵器禁止条約締結国会議が開かれました。

オーストラリアの首都ウイーンで2022年6月21日~23日の日程で、核兵器禁止条約第1回締結国会議が開かれました。議長に選出されたオーストリア外務省のアレクサンダー・クレメント軍縮局長は「核兵器禁止条約そのものと人類全体の願いである核兵器のない世界に向けて強力なメッセージを送れることを確信している」と話しました。

締結国のほか、署名だけを済ませた国などやく30ヵ国がオブザーバー参加しました。会議では日本原水爆被害者団体協議会の木戸季一(すえいち)事務局長が被爆体験を語りました。

「ウイーン宣言」全文

各国による発言から

東ティモール マグノ外相

核保有国による最近の各の脅しが地域の緊張を高めている。このことは、わたしたちがいかにもろい安全保障環境の中で暮らしているかを示した。核使用の威嚇は他の国が抑止を理由に核兵器をもつことを正当化することになる。

オーストリア シャレンベルク外相

核兵器が安全を保障するという論理は基本的に誤っている。抑止とは核兵器を実際に使う準備があるということだ。新たな道を示しているのが禁止条約であり、その力を信頼している。

ニュージーランド トワイフォード軍縮・軍備管理相

ロシアのプーチン大統領の威嚇は核兵器による破滅の瀬戸際に私たちを追いやっている。わたしたちは人類の法の支配を守らねばならない。核兵器禁止条約はその方向に向けた第一歩だ。

全米市長会議 総会で核兵器禁止条約を歓迎

 アメリカで3万人以上の1400自治体の首長が参加する「全米市長会議」は2021年8月の第89回年次総会で、米国政府に対し核兵器禁止条約を歓迎するよう求める決議をしました。

 昨年の決議は、核保有国がとるべき行動について助言をいくつか提示しました。また、核兵器禁止条約に反対する姿勢を転換することを呼びかけ、同条約を歓迎することで、核兵器のない世界の永続的な維持にむけた包括的合意への前向きな一歩にすべきだと呼びかけています。

全米市長会議決議(要旨)

 2021年8月31日、全米市長会議第89回年次総会で採択された「核兵器禁止条約を歓迎し、核戦争防止、核兵器廃絶にむけた即時行動を求める決議」(要旨)は次の通り

1.米政府に核兵器禁止条約反対の撤回検討を求める。同条約を歓迎することで、核兵器廃絶の実現と核兵器のない世界の永久維持を実現するための包括的合意形成への前向きな一歩とする。

1.米政権に対し、ロシア、中国との外交努力を加速し、核兵器をめぐる緊張を緩和させ、核兵器廃絶にむけた核保有国間の検証可能な合意を積極的に追及することを求める。

1.国際法が米国に課す核兵器の不使用と廃絶の義務を完全に果たすことを、バイデン政権の「核態勢の見直し(NPR)に盛り込むことを要請

1.米大統領と議会に対し、核軍縮の近代化・強化の計画を中止し、核兵器等に割りあてられる財源を、インフラ、貧困、気候変動、格差拡大への対策にまわすことを要請


日本政府は核兵器禁止条約に批准を!

 122カ国が核兵器禁止条約に賛成しました。日本も含めて条約に反対した国は「核の傘」「抑止論」にとらわれている国々です。

次のような問題提起成り立つのでしょうか?

『核兵器を持つことが戦争の抑止になるなら、すべての国が持てばいい。核保有国は世界の平和のために未保有国に対し、核兵器開発の技術提供を率先して行うべきだ。』

世界の多くの国々は抑止論を否定しています。世界の主流は、その経験から、民主主義、法の支配、国際紛争の平和的解決を望み、その方向に進んでいます。

人類の英知としての核兵器禁止条約。日本政府も「抑止論」をすて、条約を批准するべきです。

最後にもうひとつ。そのような世界の方向の中で、日本国憲法はその輝きを増しています。その憲法を変えようなんてとんでもないことです。

核兵器 地球(世界)の現状

 年度で保有数を比較すると、確かに核弾頭の数は若干減ってはいます。が、核弾頭1つの性能?は向上しており、研究所はそのことを指摘しています。

核兵器が戦争で使用されたのは、アメリカによる、広島・長崎の2回だけです。

過去、朝鮮戦争、ベトナム戦争など核保有国は核兵器の使用を検討しました。しかし、実行できなかった。

それは、「あまりにも惨い(むごい)」からです。

過去、2回しか使用されなかった核兵器が、2018年現在14,465発、存在している。

世界の国々は、その状況に対して、「NO!」の答えを出したのです。

人類の英知である核兵器禁止条約

2017年7月7日、ニューヨークの国連本部で122ヵ国の賛成のもと、核兵器禁止条約が採択されました。これまで国際法で明確に禁止されることのなかった唯一の大量破壊兵器である核兵器が、違法であると認識され「核兵器のない世界」へ歴史的な一歩を踏み出したのです。

核の廃絶を訴えてきた広島、長崎の被爆者は歴史的な前進だとして歓迎しています。

採択に反対する日本

しかし、唯一の被爆国である日本政府は、アメリカなどの核兵器の保有国とともに、条約作りの動きに反対し、今後も署名することはないと言い切りました。

長崎で式典の後に行われる、被爆者と首相との懇談会では、「あなたはどこの国の首相か!」と言われるしまつです。

核不拡散防止条約(NPT)の限界

今まで、核兵器廃絶の課題は、1970年に発効した核拡散防止条約(NPT)NPT=核拡散防止条約や、CTBT=包括的核実験禁止条約により、核兵器をこれ以上増やしたり拡散させたりせずに、核保有国が段階的に減らしていくことを目指していました。

現在条約に参加している国は190カ国(2012年4月1日現在)で、これは現在の国連加盟国数の193カ国に比べればわかるように、世界で最も多くの国が参加している条約の一つでした。

NPTは大きく言って次の3つから構成されています。

① 核保有国による核軍縮  (米・ロ・中・英・仏の5カ国の努力目標)

② 非保有国への不拡散   (米・ロ・中・英・仏の5カ国以外は核兵器を製造、保有してはいけない)

③ 原子力の平和利用 平和利用についてはIAEA(国際原子力機関)による厳しい査察によって担保されています。

しかし、不拡散が条約上の義務とされているのに対し、核軍縮と原子力の平和利用の促進は、事実上努力目標となっています。核保有国による不平等条約という側面あり、ほとんど目的が達成できませんでした。

条約に参加していない、インド、パキスタン、脱退を表明した北朝鮮は保有国となりました。イスラエルも保有に関して肯定も否定もしていません。

核兵器禁止条約とは

 核兵器その物自体が、国際法に違反しているとし、法的に禁止する条約です。

核兵器禁止条約は、核兵器そのものを「悪」である、国際人道法違反だとして、いかなる場合も例外なく核兵器の保有・使用・威嚇などを禁止するものです。

核兵器の「開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵」などが禁止され、さらに、「使用、使用の威嚇」などが禁止されています。そして条約で禁止されている活動を、「援助し、奨励しまたは勧誘すること」も禁止されています。

たとえば米国の「核の傘」のもとに入るなど、米国による核兵器の威嚇を、「援助、奨励、勧誘」することによって自らの安全保障をはかろうという行為も禁止されています。

核保有国や同盟国は「核抑止論」という考え方を主張しています。核兵器の威嚇によって安全保障をはかろうとするものです。それは、他の国を核で脅して、自らの支配をおしつけようとする大国の道具にもなっています。条約は、これを否定したものとして大きな意義があります。

このように、条約は、抜け穴をすべてなくして、文字通り、核兵器を全面的に禁止する内容となっています。条約は、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押し、それを全面的に違法化するものとなったのです。