運転者 休憩「9時間」止まり  これでは「市民・乗客の安全」は守れない

9月8日、厚生労働省は、トラック運転者の労働時間に関する規則(改善基準告示)の改定案を労働政策審議会の作業部会に提示し、了承されました。タクシー・ハイヤー、バス、トラック運転者の改善基準告示の改定案がでそろい、2024年4月から適用される予定です。

運転者「改善基準告示」

トラック・バス 痛ましい事故がなくならないわけ

京王新労組 change・Оrg(チェンジ・ドット・オーグ)

「午後9時に仕事を終えて、翌日5時には運転している」
 オンライン署名収集ができるウェブサイト change・Оrg(チェンジ・ドット・オーグ)作成の動画、「経営者と労働者代表は『勤務と勤務の間を11時間以上』空けるルールづくりをやめないでください」で、京王新労組の佐々木さんは訴えます。
 睡眠不足からくる交通事故。その背景が見えます。

睡眠不足では乗客の安全は守れない

 現在の休息時間は1989年の告示で「最低8時間」と定めらています。しかし、運転手の過労や睡眠不足による事故が増え、厚労省は見直しに着手しました。
バスなど運輸業界で働く運転手の過労防止策を議論する厚生労働省労働政策審議会は2月17日、作業部会を開きました。当初、厚生労働省は、勤務終了から翌朝の始業までの休息時間を国際基準であるを「11時間」にならい、通勤や食事時間も考慮し最低11時間とする案をいったんは提出しましたが、経営側の反対を受け「9時間案」に修正し、結論が先送りされました。

 運転手の過労による事故が増える中、識者は「乗客らの安全が確保できない懸念がある」と同省の対応を疑問視しています。

 運輸業界の過労対策は厚労省審議会専門委員会で、経営者や労働組合代表(連合)も参加して論議中で、3月末までに正式決定する予定です。

※ 八王子労連は 「労働組合代表(連合)」ではなく、全労連・全国労働組合総連合に加盟する組合です。 悔しいけど、こういう審議会などには入れてもらえないのです。

の図をみて、チョット想像してみましょう。

運転者「改善基準告示」図で表示したもの

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014  ~睡眠12箇条~

平成26年 厚生労働省保険局は「健康づくりのための睡眠指針」を作成しました。参考資料 p22には下記の解説が記されています。

8-②睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
 睡眠不足は,疲労や心身の健康リスクを上げるだけでなく、作業能率を低下させ、生産性の低下、事故やヒューマンエラーの危険性を高める可能性がある。健康成人を対象にし
た研究では、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後 12~13 時間が限界であり、起床後 15 時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下することが示されている

休憩が9時間に伸びても、運転士は起床から17時間近く起きた状態でハンドルを握ることに変わりありません。厚生労働省が”酒気帯び運転”と指摘する勤務をこれからも続けさせようとるのか? 各委員の見識が問われます。なにせ、事は「乗客の安全」という事もふくまれ、命を守る内容ですから。
 特に、労働組合の代表である「連合」の委員には、当初、厚生労働省が提案した「国際基準の11時間」を主張すべきです。もし、9時間で労働組合も合意したなら、厚生労働省は、「悲惨な事故を減らすために、厚労省は11時間を提案しましたけど、労働組合も含めて皆さんが9時間でいいとおっしゃるので、いたしかたなく」「経営者、労働者の皆さん、くれぐれもお気をつけて」また、「国民の皆さんにもよろしくお伝えください」なんて言われませんか。