教員「働かせ放題」継続   衆議院 給特報改定案を可決

 衆院文部科学委員会は14日、学校の「働き方改革」をうたいながら公立学校の教員を残業代制度の対象外のままとする教員給与特別措置法(給特法)改定案を自民、公明、立民、国民、維新の5党の提案で一部修正したうえで、5党の賛成で可決しました。

 給特法は、月給の4%を教職調整額として支給する一方、公立学校の教員を労働基準法の残業代制度の対象外としています。改定案は、残業代不支給制度を維持したまま、調整額を10%まで段階的に引き上げることが柱。調整額には長時間労働を抑制する効果はなく、教育関係者からは「働かせ放題」を継続するものだと批判が上がり、国会前では抗議集会が開かれました。

 改定案に盛り込まれた「主務教諭」や「学級担任手当」の創設も、教職員の序列化や階層化を進め、学校現場を分断することにつながります。

 5党による修正は、2029年度までに教員の1カ月の「時間外在校等時間」を30時間程度に削減することを目標として定め、そのために、教員1人当たりが受け持つ授業時数の削減▽標準授業時数などにかかわる教育課程の検討▽義務教育標準法上の教職員定数の見直し▽法施行後2年をめどに教員の勤務状況を調査―などを付則に盛り込むもの。

 ただし、残業代不支給制度や主務教諭などについては何も言及がなく、法案の性格を変えるものではありません。

 採決された14日、全日本教職員組合(全教)は採決に抗議し、法案の廃案を求めて国会前行動を行いました。

 檀原毅也委員長は、極めて不十分な内容の修正案を密室で協議し、可決したことに「非常に怒りを持っている」と強調。修正案に、担当授業時数の削減などが書き込まれたことは「この間の運動の反映だ。問題はどのような具体的措置を講じるかだ」と述べ、教育予算増や持ち授業時数の上限設定、少人数学級推進の必要性を指摘しました。

 一方で、教員が働いた時間を労働基準法上の労働時間と認めない給特法の根本的な矛盾は解消されておらず、教職員の共同を破壊する賃金格差の問題点の追及も不十分だと指摘。「参院で徹底的に審議し、広く知らせていく必要がある」と訴えました。