コロナ禍だけではなく、どんな状況でも利用できます。

増えている申請数

厚生労働省「被保護者調査」から作成

 自治体は「休業要請」するなら損失を補填してくれればいいのに、すずめの涙ほど。

 新型コロナウイルスの感染拡大による営業の自粛で職を失い、生活保護の利用を申請する方が急増しています。

 厚生労働省も生活保護の申請権を侵害せず、速やかに決定することを求める通知をだしました。

利用は‟恥”ではありません。

「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とした憲法25条に基づく社会保障制度が生活保護です。

 年金、医療など他の制度を利用しても、なお困窮してしまう人の生活を支える「最後のセーフティーネット(安全網)」。憲法の生存権を保障する最後のとりでが生活保護です。

「健康で文化的な最低限度の生活」をするためにはこれだけの金額が必要という基準=最低生活費が決められています。年金や給料などの収入が最低生活費を下回っている場合、足りない分を補助してくれるのが生活保護の仕組みです。

 社会保障制度の利用は権利です。遠慮なく使うことができます。

 しかし、日本では「恩恵」のようにとらえられ、生活保護を利用することが恥ずかしい、後ろめたいと思ってしまう傾向があります。「お上の世話にはなりたくない」ではなく、権利なので遠慮なく活用しましょう。

「水際作戦」慎むようコロナで厚労省通知

 市役所の生活保護の窓口を訪ねると「書類が整っていないかたは受け付けない」などと、生活保護の申請をする権利を侵害する行為があるようです。「水際作戦」?と俗に呼ばれています。

 厚生労働省は3020年3月~5月、各自治体に対し、コロナの下での生活保護業務について事務連絡(通知)をしています。窓口で生活保護の申請を拒む「水際作戦」をしないことを改めて通知したものです。

申請にあたって「水際作戦」?? と感じたら、相談してください。

コロナの下での生活保護業務についての厚労省の通知から

 3月10日、4月7日、5月8日、5月26日の事務連絡

🔷面接時の対応
  • 速やかに申請書を交付し、申請権を侵害しない
  • 生活保護の要否判定に直接必要な情報のみを聞き、その他は電話で聞くなど、面接が長くならないように
  • 申請時に記載事項がすべて記入されていなくてもよい
  • 住所がない人は現在地の自治体が保護を決定する
🔷速やかな保護決定
  • 所持金がない場合、生活福祉資金貸付制度などの活用を支援し、保護の決定を速やかに行う
🔷弾力的な運用
  • 新たに就労の場を探すことが困難な場合、稼働能力を活用できる場を得られるかどうかの判断を留保できる
  • 通勤や求職活動に必要な自動車の保有を一定の条件で認める。自営に必要な店舗、機械器具等の資産も同様
🔷医療
  • 医療扶助の申請は電話で受け付け、医療券なして受診できる