核兵器禁止条約発効から2年
2024年1月現在 批准は70ヵ国に達しました。
批准の70ヵ国
署名:条約の内容について、国家の代表者が合意すること。
批准:国家として条約を締結する意思を議会の承認を得て最終的に決定すること、つまり各国が内容を吟味した上で、その条約に加盟することを指します。
出典:http://disarmament.un.org/treaties/t/tpnw<外部リンク>
核兵器禁止条約第2回締約国会議 2023年11月26日(日)~12月1日(金)
【場 所】 ニューヨーク(アメリカ)
2023年11月26日(日)~12月1日(金)、アメリカ ニューヨークの国連本部で、核兵器禁止条約第2回締結国会議が開かれました。
会議には35カ国がオブザーバーとして出席し、NATO加盟国など米国の同盟国からのオブザーバー参加国の出席と発言は歓迎されました。
一方、日本政府の不在に対して、「日本がいないのはおかしい。不思議な国」との失望が広がっています。赤道ギニアは「日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会には核保有国と足並みを揃えて投票している」と、日本政府の態度を批判しました。
日本政府が「橋渡し」といいながら、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことは、恥ずべき態度です。
また、ロシア非難をしながら、「核抑止」に固執する米英仏などの欺瞞(ぎまん)的な態度には国連で批判が相次ぎました。
全会一致で採択された政治宣言は「核リスクの増大と危険な核抑止の永続化を傍観」しないと述べ、「現在および将来の世代のために、核兵器のない世界を実現するために不断に努力する」と表明しました。
政治宣言は、核兵器の使用と、それによる威嚇は国連憲章を含む国際法違反であるとして、明示的であれ暗示的であれ、核兵器によるいかなる威嚇も「明確に非難」しました。これは今日の情勢に照らして特に重要です。ロシアへの姿勢に差はあっても参加国は一致し、緊迫感をもって核使用・威嚇の違法性を訴えました。禁止条約は世界の反核世論と結んで、核保有国の手をきつく縛っています。
多くの参加国が、核兵器固執の論拠とされている「核抑止」の危険と矛盾を指摘し、その脱却が急務だと訴えました。それに向けて、核兵器が破滅的な非人道的結末をもたらすことへの認識を広げることが不可欠です。今回の会議でも、被爆者や核実験被害者が積極的な役割を果たしています。
第2回締約国会議は、25年の次回会議までに「核抑止」論からの脱却を訴える報告書を作成することを決め、新たな段階の取り組みを始めようとしています。禁止条約は「核抑止」論の克服でも大きな力を発揮しています。
日本政府は核兵器禁止条約に批准を!
122カ国が核兵器禁止条約に賛成しました。日本も含めて条約に反対した国は「核の傘」「抑止論」にとらわれている国々です。
次のような問題提起成り立つのでしょうか?
『核兵器を持つことが戦争の抑止になるなら、すべての国が持てばいい。核保有国は世界の平和のために未保有国に対し、核兵器開発の技術提供を率先して行うべきだ。』
世界の多くの国々は抑止論を否定しています。世界の主流は、その経験から、民主主義、法の支配、国際紛争の平和的解決を望み、その方向に進んでいます。
人類の英知としての核兵器禁止条約。日本政府も「抑止論」をすて、条約を批准するべきです。
最後にもうひとつ。そのような世界の方向の中で、日本国憲法はその輝きを増しています。その憲法を変えようなんてとんでもないことです。
核兵器 地球(世界)の現状
年度で保有数を比較すると、確かに核弾頭の数は若干減ってはいます。が、核弾頭1つの性能?は向上しており、研究所はそのことを指摘しています。
核兵器が戦争で使用されたのは、アメリカによる、広島・長崎の2回だけです。
過去、朝鮮戦争、ベトナム戦争など核保有国は核兵器の使用を検討しました。しかし、実行できなかった。
それは、「あまりにも惨い(むごい)」からです。
過去、2回しか使用されなかった核兵器が、2018年現在14,465発、存在している。
世界の国々は、その状況に対して、「NO!」の答えを出したのです。
人類の英知である核兵器禁止条約
2017年7月7日、ニューヨークの国連本部で122ヵ国の賛成のもと、核兵器禁止条約が採択されました。これまで国際法で明確に禁止されることのなかった唯一の大量破壊兵器である核兵器が、違法であると認識され「核兵器のない世界」へ歴史的な一歩を踏み出したのです。
核の廃絶を訴えてきた広島、長崎の被爆者は歴史的な前進だとして歓迎しています。
採択に反対する日本
しかし、唯一の被爆国である日本政府は、アメリカなどの核兵器の保有国とともに、条約作りの動きに反対し、今後も署名することはないと言い切りました。
長崎で式典の後に行われる、被爆者と首相との懇談会では、「あなたはどこの国の首相か!」と言われるしまつです。
核不拡散防止条約(NPT)の限界
今まで、核兵器廃絶の課題は、1970年に発効した核拡散防止条約(NPT)NPT=核拡散防止条約や、CTBT=包括的核実験禁止条約により、核兵器をこれ以上増やしたり拡散させたりせずに、核保有国が段階的に減らしていくことを目指していました。
現在条約に参加している国は190カ国(2012年4月1日現在)で、これは現在の国連加盟国数の193カ国に比べればわかるように、世界で最も多くの国が参加している条約の一つでした。
NPTは大きく言って次の3つから構成されています。
① 核保有国による核軍縮 (米・ロ・中・英・仏の5カ国の努力目標)
② 非保有国への不拡散 (米・ロ・中・英・仏の5カ国以外は核兵器を製造、保有してはいけない)
③ 原子力の平和利用 平和利用についてはIAEA(国際原子力機関)による厳しい査察によって担保されています。
しかし、不拡散が条約上の義務とされているのに対し、核軍縮と原子力の平和利用の促進は、事実上努力目標となっています。核保有国による不平等条約という側面あり、ほとんど目的が達成できませんでした。
条約に参加していない、インド、パキスタン、脱退を表明した北朝鮮は保有国となりました。イスラエルも保有に関して肯定も否定もしていません。
核兵器禁止条約とは
核兵器その物自体が、国際法に違反しているとし、法的に禁止する条約です。
核兵器禁止条約は、核兵器そのものを「悪」である、国際人道法違反だとして、いかなる場合も例外なく核兵器の保有・使用・威嚇などを禁止するものです。
核兵器の「開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵」などが禁止され、さらに、「使用、使用の威嚇」などが禁止されています。そして条約で禁止されている活動を、「援助し、奨励しまたは勧誘すること」も禁止されています。
たとえば米国の「核の傘」のもとに入るなど、米国による核兵器の威嚇を、「援助、奨励、勧誘」することによって自らの安全保障をはかろうという行為も禁止されています。
核保有国や同盟国は「核抑止論」という考え方を主張しています。核兵器の威嚇によって安全保障をはかろうとするものです。それは、他の国を核で脅して、自らの支配をおしつけようとする大国の道具にもなっています。条約は、これを否定したものとして大きな意義があります。
このように、条約は、抜け穴をすべてなくして、文字通り、核兵器を全面的に禁止する内容となっています。条約は、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押し、それを全面的に違法化するものとなったのです。