2021年12 月から職場における労働衛生基準が変わったのをご存知だろうか。その中の一つに男女別のトイレがあります。
従来、事業所のトイレは男女別に分かれていなければ、違反であり、罰則規定がありました。改定は、常時10人以内の事業所は、「独立個室型」のトイレを設置すれば、一つのトイレを男女が使用してもかまわないという内容です。「独立個室型」というのは、簡易パーティションのように、上にも下にも隙間が無く、内から鍵がかかる構造で、マンションの一室を事業所にしている場合を例にしているので、そのイメージです。(洋式便器?)
想像してみましょう。男女5人で働いている。
毎日、顔をあわせてはいるが、家族では無い。トイレは一つ。うんこしたり、おしっこしたり、女性は生理の処置もあるでしょう。
法律違反、みんなで犯せば制度が変わる。 「社長、コンビニ行ってきてもいいですか」
皆さんの感覚は?
厚生労働省 Q&A より
事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の改正に係る質疑応答集
令和3年12 月
厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
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今回の改正で、作業場の便所 は作業場の規模に かか わらず 男性用と女性用に区別するという 原則 に 変更 はあるか 。
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変更はありません 。
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今回の改正
は 女性用便所 の男女共用便所への改修を推進するものな の か。 -
作業場に設置する便所は、作業場の規模にかかわらず、男性用と女性用に区別して設けることが原則であることは従前から変わりません 。
その上で、今回の改正では、小規模な作業場では、建物の構造や配管の敷設状況から、男女別の便所を設けることが困難な場合もあることから、同時に就業する労働者が常時 10 人以内である場合は、独立個室型の便所を設置した場合に限り、例外的に男女別による設置は要しないものとしているものです。
ただし 、同時に就業する労働者の数が常時 10 人以内である場合においても、可能な限り便所は男性用と女性用に区別して設置することが望ましいことは言うまでも ありません 。
なお、同時に就業する労働者が常時10 人を超える場合は、従前どおり男性用と女性用に区別した便所を設置することが義務付けられています。
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今回の改正における「独立個室型の便所 」 には具体的にはどのようなものが該当するか。
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今回の改正における「独立個室型の便所 」 とは、 男性用と女性用に区別しない単独でプライバシーが確保されている便所のことをいい ます。
全方向を 視覚的、聴覚的観 点から便所内部が便所外部から容易に知覚されない堅牢な壁や扉で囲まれ、扉を内側から施錠できる構造である必要 及び手洗い設備を備えている必要 があります。
独立個室型の便所に該当するか否かは個別の判断となりますが、例えば車椅子使用者用便房で、上記要件を満たすものは当然独立個室型の便所に該当します。
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施行日以降は、全ての事業場において独立個室型の便所を設置しなければならないのか。
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従来の設置基準を満たしている便所を設置している事業場については 、 変更の 必要 は ありません。
今回の事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の便所に係る改正は、①同時に就業する労働者の数が常時 10 人以内で ある場合は、独立個室型の便所を設けることで足りることとした。
②男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所又は女性用便所の便房の数若しくは男性用小便所の箇所数を算定する際に基準とする当該事業場における同時に就業する労働者の数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ 10 人ずつ減ずることができることとしたというものです。
今回の改正により、作業場における便所の設置に関する選択肢が増えるものであり、独立個室型の便所の設置 を 全ての事業場に対して求めるものではありません。独立個室型の便所を設置するか否かは、 事業場の実情 に応じて、衛生委員会等で調査 審議、検討等を行い、その結果に基づいて対応することが望まれます 。
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これから起業すること を考えてい る 。 マンションの一室を事務所として使用しようと考えてい る がトイレが1箇所 しか ない 。 問題はあるか 。
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作業場に設置する便所については、作業場の規模にかかわらず男性用と女性用に区別して設置することが原則 です が、住居として使用することを前提として建築された集合住宅の1室を作業場として使用している場合など、便所が1箇所しか設けられておらず、建物の構造や配管の敷設状況から、男性用便房、男性用小便器、女性用便房の全てを設けることが困難な場合もあ ります 。このような場合についても例外なく、便所男女別の原則を適用した場合、作業場の移転や便所の増設に必要なスペースを確保することによる作業環境の悪化などが生ず便所の増設に必要なスペースを確保することによる作業環境の悪化などが生ずるおそれがあることから、同時に就業する労働者の数が常時るおそれがあることから、同時に就業する労働者の数が常時1010人以内である場人以内である場合は、独立個室型の便所を設置した場合に限合は、独立個室型の便所を設置した場合に限り、特例り、特例的に男女別による設置は要的に男女別による設置は要しないこととししないこととしています。ています。
ただしただし、同時に就業する労働者の数が常時、同時に就業する労働者の数が常時1010人以内である場合においても、人以内である場合においても、可能な限り便所は男性用と女性用に区別して設置することが望ましいことは言可能な限り便所は男性用と女性用に区別して設置することが望ましいことは言うまでもうまでもありませんありません。。
なお、なお、新たに作業場を設ける場合については、当該作業場で同時に就業する労新たに作業場を設ける場合については、当該作業場で同時に就業する労働者の数が常時働者の数が常時1010人以内である場合には、独立個室型人以内である場合には、独立個室型のの便所を1箇所設ければ便所を1箇所設ければ足りるもので足りるものではありますはありますが、が、業務拡大などにより新たに労働者を雇い入れ、業務拡大などにより新たに労働者を雇い入れ、同時同時に就業する労働者の数が常時に就業する労働者の数が常時1010人を超えた場合には、直ちに法違反となる一方、人を超えた場合には、直ちに法違反となる一方、便所の増設は容易ではないことを踏まえれ便所の増設は容易ではないことを踏まえれば、予め男性用と女性用に区別したば、予め男性用と女性用に区別した便所を設置しておくことが望ま便所を設置しておくことが望まれます。れます。
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本事業場では、同時に就業する労働者の数が男女合わせて 常時 10 人 以内 であり、現在、 独立個室型の便所が1箇所 しか ないが 、 労働者の利便性向上 や労働者の人数が増加した場合 のため、 もう 1 箇所独 立個室型 の便所 を設けようと考えてい る。
独立個室型の便所が2箇所あるとき、便所男女別の原則に基づき、便所を男性用と女性用に区別するために、 一方 を男性用便所、もう 一方 を女性用便所として 表示し、 使用する場合について、男性用小便所を 設けていなければ 問題となるか。 -
今回の改正により新たに示された「独立個室型の便所」は、男女別に便所を設けた上で、付加的に設置する場合には、1箇所につき、男女それぞれ 10 人分を応需可能であると見なし、便房等の個数の算定を行うことができることを踏まえれば、「独立個室型の便所」と同等の構造を有する便所を男性 専 用 として使用する場合には、 当該便所1箇所 で 男性 20 人 分に対する大便所、小便所の役割を果たしている と見なすことができます。
このため、 「 独立個室型の便所 」と同等 の構造 を有する便所を 男性専用便所とした場合は、 男性労働者が 20 人以内であれば、 ご質問のようなケースも含め、男性用小便所を設けなくとも 事務所衛生基準規則第 17 条 または労働安全衛生規則第 628 条 に基づく男性用便所を設置したこととなり ます。
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本事業場では、同時に就業する労働者の数が男女合わせて 常時 10 人以内であり、 現在 、 独立個室型の便所が1箇所しかないが、労働者の利便性向上 のため、独立個室型 の便所内に、大便器のほかに、男性用小便器 を設置 しようと考えているが、 問題はないか 。
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同時に就業する労働者の数が常時 10 人以内である場合には、独立個室型の便所を1箇所設ければ、事務所衛生基準規則や労働安全衛生規則で定める基準は満たすものではありますが、上記基準はあくまで最低基準であり、利便性向上のために 、独立個室型の便所内部に男性用小便器を設けることは 当然問題にはなりません 。
ただし、独立個室型の便所は、複数人が同時に使用することはできないことから、 便所の箇所数を算定する際に は、当該独立個室型の便所1箇所をもって便房及び男性用小便所を設置した とは見なせません ので注意が必要です。
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本事業場では、基本的には同時に就業する労働者は6人だが、シフトの交代の際には、引き継ぎ等のために、一時的に短時間、同時に 12 人就業することがあるが、独立個室型の便所1箇所のみの設置で問題ないか。
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個別の状況について一概に回答するのは困難ですが、 同時に就業する労働者の 数が常時 10 人以内である場合は、独立個室型の便所を 1箇所 設けることで足ります。
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便所に男性用、女性用の表示をする必要があるか。
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事務所衛生基準規則や労働同安全衛生規則においては、便所への男女別の表示は規定しておりませんが、表示の在り方も含め、 便所の使用や維持・管理に関するルール等について、衛生委員会等で調査審議、検討等を行った上で定めておくことが望ま れます 。
なお、表示については、 日本産業規格 JIS Z 8210 が参考となります 。