汚染水放出 即時停止を 日本科学者会議が声明

「海水で希釈しても濃度が低下するだけで環境を汚染する放射性物質の総量は変わらない」

日本科学者会議幹事会は10月26日、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出の即時中止と、汚染水の抜本的削減対策を求める声明を公表しました。東電は同日、3回目の海洋放出を11月2日から始めると発表しています。

 声明は、汚染水には大量のトリチウムと、その他ストロンチウム、プルトニウムなど多数の放射性核種が含まれ、「海水で希釈しても濃度が低下するだけで環境を汚染する放射性物質の総量は変わらない」と強調しています。

現段階で汚染水が発生しなくなる時期は全く分からず、汚染水の放出期間も放射性物質の核種ごとの総量も見積もれないと指摘。政府と東電による海洋放出は「50年以上前の公害多発時代に希釈放出方式が否定され、総量規制方式に変えられた教訓を捨て去るもの」と述べています。

 放出後に政府が、海水や漁獲対象の魚介類のみ少数のサンプルを採取し、トリチウムなどが検出下限値未満であると宣伝していることを批判。国内外から反対や懸念の声が出るのは当然だとしています。

 声明は、公聴会や原子力市民委員会などで提案されてきた大型タンク長期保管やモルタル固化などの方法に加え、原子炉建屋への地下水流入を抜本的に削減する「広域遮水壁」の必要性などを強調しています。