「運転士休息」9時間を了承

運転労働者の働くルールを定めた厚生労働省の「改善基準告示」の改訂に向け16日、労働政策審議会のバス作業部会がひらかれました。

部会では、運転者の勤務終了から翌日の勤務までの「休息」時間を現行からわずか1時間だけ拡大する9時間案を了承しました。

今回の見直し案は、専門委員会、労働条件分科会、審議会での審議を経て、22024年4月に改訂する流れとなっています。また、タクシーとトラックの作業部会も年内のとりまとめを目指すとしています。

自交総連 菊池和彦書記長の話

 今より休息が1時間長くなっただけで、9時間の休憩では運転手の健康破壊や事故の歯止めにならない。14時間超えの拘束を週3回も認めるのも驚きだ。現行は15時間超を週2回しか認めておらず、かえって増えている。今後も安全に直結する問題だと市民に広く訴えていきたい。

過労運転容認の見直し案

現行主な焦点見直し案
継続8時間以上【1日の休息時間】継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下まわらないものとする。
13時間を超えないものとし、拘束時間を延長する場合でも、最大拘束時間16時間。1日の拘束時間が15時間を超える回数は、1週間に2回以内。【1日の拘束時間】13時間を超えないものとし、拘束時間を延長する場合でも、最大拘束時間は15時間。1日の拘束時間が14時間を超える回数は「1週間に3回以内」を目安に
65時間を超えないものとする【4週間を平均し1週間あたりの拘束時間】52週間の総拘束時間が3,300時間、かつ、4週間を平均し1週間あたりの拘束時間が65時間を超えない
見直し案

トラック・バス 痛ましい事故がなくならないわけ

京王新労組 change・Оrg(チェンジ・ドット・オーグ)

「午後9時に仕事を終えて、翌日5時には運転している」
 オンライン署名収集ができるウェブサイト change・Оrg(チェンジ・ドット・オーグ)作成の動画、「経営者と労働者代表は『勤務と勤務の間を11時間以上』空けるルールづくりをやめないでください」で、京王新労組の佐々木さんは訴えます。
 睡眠不足からくる交通事故。その背景が見えます。

電子署名へのリンク

change・Оrg(チェンジ・ドット・オーグ)
 このままでは『走る凶器』となるバス・タクシー・トラックがなくならない!経営者と労働者代表(連合加盟の労働組合)は「勤務と勤務の間を11時間以上」空けるルール作りをやめないで下さい!

画像をクリックすると change・Оrg が表示されます。

睡眠不足では乗客の安全は守れない

現在の休息時間は1989年の告示で「最低8時間」と定めらています。しかし、運転手の過労や睡眠不足による事故が増え、厚労省は見直しに着手しました。
バスなど運輸業界で働く運転手の過労防止策を議論する厚生労働省労働政策審議会は2月17日、作業部会を開きました。当初、厚生労働省は、勤務終了から翌朝の始業までの休息時間を国際基準であるを「11時間」にならい、通勤や食事時間も考慮し最低11時間とする案をいったんは提出しましたが、経営側の反対を受け「9時間案」に修正し、結論が先送りされました。

 運転手の過労による事故が増える中、識者は「乗客らの安全が確保できない懸念がある」と同省の対応を疑問視しています。

 運輸業界の過労対策は厚労省審議会専門委員会で、経営者や労働組合代表(連合)も参加して論議中で、3月末までに正式決定する予定です。

※ 八王子労連は 「労働組合代表(連合)」ではなく、全労連・全国労働組合総連合に加盟する組合です。 悔しいけど、こういう審議会などには入れてもらえないのです。

下の図をみて、チョット想像してみましょう。

バスやタクシーの運転手の休憩時間についての定め

(終業時から翌日も始業時まで。通勤1時間と過程)

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014  ~睡眠12箇条~

 平成26年 厚生労働省保険局は「健康づくりのための睡眠指針」を作成しました。参考資料 p22には下記の解説が記されています。

8-②睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
 睡眠不足は,疲労や心身の健康リスクを上げるだけでなく、作業能率を低下させ、生産性の低下、事故やヒューマンエラーの危険性を高める可能性がある。健康成人を対象にし
た研究では、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後 12~13 時間が限界であり、起床後 15 時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下することが示されている

 休憩が9時間に伸びても、運転士は起床から17時間近く起きた状態でハンドルを握ることに変わりありません。厚生労働省が”酒気帯び運転”と指摘する勤務をこれからも続けさせようとるのか? 各委員の見識が問われます。なにせ、事は「乗客の安全」という事もふくまれ、命を守る内容ですから。