勤めている会社が突然倒産し、給与が支払われないまま退職となってしまったら?
そのような場合は「未払い賃金立替払制度」を利用する方法があります。
倒産したら賃金は請求できないのか
会社が破産した場合、破産までに支払いを受けていない賃金があれば、残された会社財産からこれを優先的に支払うよう裁判所に届け出ることができます。しかし、法的な権利として未払い賃金請求が認められるとしても、実際に支払いを受けるまでには手続き上の相当な時間がかかります。
また、会社自体にめぼしい財産が残っていることはなく、満足な支払いを受けることは現実的には難しいことでしょう。
では、このような場合に労働者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。
未払い賃金の立替払は、個人で手続きができます。
このような場合に備えて、「未払い賃金立て替え制度」という未払い賃金等を立替払してもらえる制度があります。
「独立行政法人労働者健康福祉機構に申請することにより、同機構が会社に代わって未払い賃金等の一部を従業員に立替払する仕組みです。
独立行政法人労働者健康福祉機構 [https://www.johas.go.jp/Default.aspx]
この制度は従業員が個人で手続き可能で、申請に必要な書類を会社を所轄する「労働基準監督署」でもらい、同機構へ申請します。
「未払い賃金立替払制度」を利用する一定の条件
(1) 1年以上事業活動を行ってきた労災保険が適用される企業に雇用されていたこと
(2) 事業活動再開の見込みがなく、賃金が支払われない中小企業に雇用されていたこと
(3) 退職日の6か月前から立替払申請の前日までに合計2万円以上の賃金や退職金が未払いとなっていること
(4)会社倒産後、2年以内の申請であること
ですから、倒産したのが、1年以上事業継続していた会社でなければ支払われないことになります。
どのくらい 立て替えてくれる?
- 立替払は退職日の6か月前の支払いまでさかのぼることができます。
- 社会保険料などを差し引かれる前の総支給額で判断されますが、賞与は対象とはなりません。
- 金額は未払い分の80%が上限ですが、その他に年齢によって限度額が定められています。