教員、長時間労働の裁判で府に賠償命令

大阪府高校教師の教員長時間労働の裁判で府に賠償命令

2022年6月29日

長時間労働を強いられ適応障害を発症し休職を余儀なくされたとして、大阪府立高校の現職の教諭が府に損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。横田典子裁判長は「(学校側は)長時間労働が健康を害するような状態だったことを認識しながら、負担軽減策を講じなかった」として、請求通り約230万円の支払いを命じた。

大阪の府立高校の教諭で社会科を教える西本武史さん(34)は5年前、夜間や休日の部活動の指導や語学研修の引率などで、恒常的に長時間労働を強いられて適応障害を発症し、休職を余儀なくされたとして、大阪府に賠償を求める訴えを起こしていた。

現職の教諭が学校側を訴える異例の裁判でしたが、府側は「教員の業務は自主性や自発性に委ねられるところが大きく、部活動の指導などの時間外勤務は校長からの命令ではない」などと主張して、校長の安全管理上の責任を否定していた。

28日の判決で、大阪地方裁判所の横田典子裁判長は「校長の命令ではなくても時間外勤務の時間量で安全配慮義務が果たされたかどうかを評価すべきだ」との判断を示したうえで、教諭の発症前半年間の時間外勤務が月におよそ100時間に上り、心身や健康を害するレベルに達していたと認定した。

そして「校長は、『このままでは死んでしまう。体も精神もボロボロです』などのメールを受け取りながら休むようにといった声かけをするのみで、抜本的な負担軽減策を講じなかった」として、教諭の訴えを全面的に認め、大阪府に230万円余りの賠償を命じた。

要点

  • 部活の指導や語学研修の引率で長時間労働を強いられていた
  • 直前半年の時間外労働は月におよそ100時間となっていた
  • 大阪府立高校の現職教諭が府(学校)を提訴
  • 長時間労働で適応障害を発症したとして、230万円の賠償を求めた
  • 大阪府側は「教員の業務は自主性・自発性に委ねられるところが大きく、部活動の指導は校長の命令ではない」と主張
  • 裁判所は「校長の命令ではなくても時間外勤務の時間量で安全配慮義務が果たされたかどうかを評価すべき」として校長に責任があると判断
  • 教諭側の主張を全面的に認め、大阪府に230万円余りの賠償を命じる判決