「あずみの里」裁判 東京高検が上告断念

准看護師の逆転無罪確定

 長野県の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、入所女性=当時(85)=にドーナツを与えて窒息させ、その後死亡させたとして業務上過失致死罪に問われ、2審逆転無罪判決が言い渡された女性准看護師(60)について、東京高検は11日、上告を断念しました。

 高検の久木元伸次席検事は「判決内容を十分検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とのコメントをだしました。

 介護中の急変で個人の刑事事件が問われたの異例の‟事件”は、発端も異常でした。
長野県警は、意識不明となった入所者が加療中の14年1月に施設を捜査。ドーナツによる窒息という見込み、結論ありきでした。気道がきれいなことや口に残ったドーナツ片はごく少量で、入所者に嚥下障害がないことなど、見込みと違う事実は見向きもせず、准看護師を書類送検しました。

 長野地裁松本支部で一審がはじまると、検察は死因が窒息だという証拠をだせず、検察側の証人が1年以上たって窒息だと述べるのがやっとでした。当初、検察は准看護師が死亡した入所者への注視義務違反があったとしていましたが、それが破綻すると、数日前に入所者のおやつをゼリー系にしたのに、ドーナツを配膳したことが過失だと言い出しました。
こうした当初の起訴状にはない主張を付け加える「起訴変更」を検察は2度も行い、1審はそれを追認しました。

2審で逆転無罪となりましたが、この裁判は警察・検察の有罪ありきの見込み捜査やチェック機能を果たせない裁判所の現状を露呈するものとなりました。

 萎縮から解放するためにも、医療・介護現場への乱暴な刑事介入を真摯に反省すべきではないでしょうか。