郵政非正規格差訴訟 9/10 最高裁で弁論

2020年9月1日

日本郵便の期間雇用社員らが正社員との待遇格差は違法だとして損害賠償を求めている訴訟は、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)で8月10日に開かれまます。最高裁弁論は判決見直しにつながる可能性もあります。

この裁判は、期間雇用社員として働く郵政産業労働者ユニオンの組合員11人が2014年、雇用形態による不合理な格差を禁止した旧労働契約法20条に違反するとして、東京と大阪で提訴したもの。
期間雇用社員は、正社員としぼ都の内容や責任の程度が変わらないのに、住居手当や夏期・年末手当は年100万円近い格差があります。

東京高裁、大阪高裁での判決

手当など東京高裁大阪高裁
住居手当
年末年始勤務手当〇※
扶養手当×
夏期冬期休暇〇※
有給の病気休暇〇※
早出勤務手当××
祝日給×〇※
夜間特別勤務手当×
夏期年末手当××

〇:不合理・違法  ×:適法  ※:雇用期間5年超の場合 -:請求せず

「無期転換」逃れ  宇都宮地裁で勝訴

宇都宮市外郭団体雇止め事件

宇都宮市の出資する公益財団法人「グリーントラストうつのみや」が非常勤職員の女性の5年無期雇用転換権が発生する直前に雇止めにした事件で、栃木県一般労働組合(とちぎ労組・栃木県労連加盟)は女性組合員の雇止め撤回・無期換実現を求めて裁判でたたかい、6月に宇都宮地裁で勝訴しました。

グリーントラストうつのみやは、里山ボランティア活動の支援などを行っていて、宇都宮市役所景観みどり課の中にあります。人員構成は市役所職員との兼務3人と、非常勤職員が3人ほど。非常勤職員は市役所の任用基準によって1年契約で雇用され、賃金の財源は市の補助金です。原告の女性は201年11月に働きはじめ、毎年数分の話し合いで契約更新が決まっていました。

ところが2018年1月、契約更新を申し込むと法人は拒否し、2018年3月31日で雇止めにすると通知してきました。「5年(無期転換)ルールが4月1日から実施されます」「(市役所)人事課の指導があって契約は更新できない」「これ以上長期雇用になると、いろいろな問題になりかねない」という説明でした。女性はとちぎ労組に加入し団体交渉を行いましたが、法人は雇止めを撤回に応じなかったため、無期転換を骨抜きにする雇止めは不当として提訴しました。

宇都宮市が主導

判決は、「原告は、基幹業務を含め精通を深め、信頼を得ていた」「主務者として業務遂行を差配していた」と重要な仕事を任されていたことを指摘。契約期間を区切っているのは「雇止めを容易にするだけの名目的なものになりつつあった」と認定し、非常勤職員には、雇用継続の期待権があると判断しました。

法人の雇止めについて「宇都宮市からの指導をそのまま受け入れ、雇止めを実行した」と市当局が主導したものだとしたうえで、「雇止めを回避する努力はもとより、雇止め者として選定することや、その手続きの妥当性について検討した形跡は全くない」と認定。原告の女性の契約更新と無期転換の申し込みが成立していると判断しました。

法人側は東京高裁に控訴していますが、とちぎ労組は「無期転換をたたかっている全国の仲間を励ます判決になりました。職場復帰を勝ち取るために頑張ります」控訴審もたたかう決意を表明していまさす。

追手門学園を提訴  職員研修で「あなたは腐ったミカン」

2020年8月25日

職員研修で人格を否定され、うつ病などを発症し休職や退職に追い込まれたとして、学校法人追手門(おうてもん)学院(大阪市中央区)の事務職員3人は8月24日、学院と川原俊明学院理事長、研修を請け負ったコンサルタント会社などを相手取り、退職強要の差し止めと復職、3人合わせて2200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

追手門学院は大学・大学院・高校・中学・小学校・幼稚園を運営。原告3人はいずれも40代の男性職員です。

原告は2016年8月22日から5日間、毎日8時間に及ぶ研修を他の15人とともに受講。「自律的キャリア形成研修」と称するこの研修を請け負ったブレインアカデミー(東京都千代田区)の講師は受講者に対して「2017年3月末までの退職」を執拗に迫り、受講者全員の前で「あなたのような腐ったミカンを置いておくわけにはいかない」「戦力外なんだよ」などと業務とは全く関係のない人格非難を繰り返しました。

学園は、研修後も退職に応じない受講生たちに何度も面談を受けさせ、人格非難をし、執拗に退職を迫りました。その結果、研修受講者18人のうち10人が退職。原告3人は、うつ病などで求職を余儀なくされ、うち1人は休職期間満了を理由に今年8月に解雇されました。

3人の原告は、研修中もその後も勧奨退職に応じないことを表明しているにもかかわらず、人格非難を伴う学院側の行為は違法な退職強要であり、人格否定事態も違法だと主張しています。

「あずみの里」准看護師に逆転無罪 東京高裁  検察 上告断念

2020年7月29日

「刑法上の注意義務違反ない」東京高裁

長野県安曇野市の特別養護老人ホーム{あずみの里」で2013年、入所者の女性=当時(85)=のおやつにドーナツを与え、窒息で死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた準看護師の控訴審判決が7月28日、東京高裁でありました。

入所女性は13年12月、ドーナツを食べた後に意識を喪失し、14年1月に死亡。准看護師は14年5月に書類送検され、同12月に在宅起訴されていました。介護中の事故をめぐり捜査当局が異例の捜査で個人の刑事責任を問い、一審がそれを追認した事件です。

地裁の判決

準看護師を有罪とした一審判決(昨年3月の長野地裁松本支部)は、女性に「食事を丸のみしてしまう傾向があった」として、窒息防止などのため、事故6日前におやつがゼリーに変更されたのに、准看護師が確認を怠った(注意義務違反)としました。

高裁の判決

これに対し高裁判決は一審判決が「特養にはどのようなリスクを抱えた利用者がいるか分からないから、(指示と違う)間食を提供すれば死亡という結果が起きる可能性があるとまで広げている… 広範かつ抽象的な予見可能性だ」と批判。
そして「窒息の可能性が否定しきれないからといって食品の提供が禁じられるものではない。食事は精神的な満足感や安らぎをえるために有用かつ重要。身体的リスクに応じてさまざまな食物を摂取することは有用かつ必要」と指摘しました。
その上で大熊裁判長は、女性が事故の1週間前まで今川焼やロールケーキ、おやきなどをおやつで食べており、ドーナツで窒息する危険性は低かったことを認定。
おやつがゼリー系に変わったのも女性が食べ物を丸のみしがちで嘔吐することがあり、主に「感染症対策のため嘔吐防止を目的としていた」が変更理由だったとなどを認め、その変更は介護士の詰め所で保管されていた介護資料に記載されていたものの、「看護師に対する引継ぎのためのものとは認められない」などと認定。「ドーナツによる被害者の窒息当の事故を未然に防止する注意義務があったとはいえない」と述べました。

一審が「准看護師が勤務の際にその資料を確認する義務があった」とした点を「飛躍がある」と批判し、ドーナツを提供したことが「刑法上の注意義務に反するとはいえない」と結論付けました。
一審判決についてはさらに「ドーナツによる窒息と死亡の具体的な予見可能性を検討すべきなのに、それをしないまま(准看護師の)過失を認めた」とも批判しました。

そして東京高裁の大熊一之裁判長は「窒息の危険と死亡の予知可能性は相当に低かった」と指摘し、罰金20万円とした一審の有罪判決を破棄して無罪を言い渡しました。

73万人分の署名  検察が上告を断念

一審で有罪判決が出た後、公正な裁判を求める署名が、控訴審に入ってからだけでも28万人分が集まりました。一審分と合わせて73万人の署名が裁判所に提出されていました。

長野県の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、入所女性=当時(85)=にドーナツを与えて窒息させ、その後死亡させたとして業務上過失致死罪に問われ、2審逆転無罪判決が言い渡された女性准看護師(60)について、東京高検は11日、上告を断念しました。

高検の久木元伸次席検事は「判決内容を十分検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とのコメントをだしました。

介護中の急変で個人の刑事事件が問われたの異例の‟事件”は、発端も異常でした。
長野県警は、意識不明となった入所者が加療中の14年1月に施設を捜査。ドーナツによる窒息という見込み、結論ありきでした。気道がきれいなことや口に残ったドーナツ片はごく少量で、入所者に嚥下障害がないことなど、見込みと違う事実は見向きもせず、准看護師を書類送検しました。

長野地裁松本支部で一審がはじまると、検察は死因が窒息だという証拠をだせず、検察側の証人が1年以上たって窒息だと述べるのがやっとでした。当初、検察は准看護師が死亡した入所者への注視義務違反があったとしていましたが、それが破綻すると、数日前に入所者のおやつをゼリー系にしたのに、ドーナツを配膳したことが過失だと言い出しました。
こうした当初の起訴状にはない主張を付け加える「起訴変更」を検察は2度も行い、1審はそれを追認しました。

2審で逆転無罪となりましたが、この裁判は警察・検察の有罪ありきの見込み捜査やチェック機能を果たせない裁判所の現状を露呈するものとなりました。

萎縮から解放するためにも、医療・介護現場への乱暴な刑事介入を真摯に反省すべきではないでしょうか。

郵政 非正規職員の差別は違法

期間雇用職員 150人が6地域に提訴

2020年2月15日

2月14日、 正社員と仕事や責任が変わらないのに、正社員に支給される年末年始の勤務手当、住居手当、夏期冬期休暇などが無く、一時金にも格差があるのは、不合理な格差を禁じた労働契約法20条に違反する とし、全国の日本郵便の期間雇用社員150名が、損害賠償を求める訴訟を、札幌、東京、大阪、広島、高知、福岡の6地域でおこした。18日には長崎地域でも提訴する予定で、合計154名。損害賠償請求額は約2億5000万円になる。
提訴したのは、郵政産業労働者ユニオン(郵政ユニオン)の組合員で、時給制、月給制などの期間雇用社員。

セクハラ被害者 働きつづけ勝訴

2020年1月22日

徳島中央郵便局(徳島市)に勤務する契約社員の20代女性が、同僚2人や上司からセクハラを受けたとして、この3人を日本郵政に慰謝料400万円の支払いを求めた訴訟で、徳島地裁は20日、同僚2人のセクハラ・パワハラを認め、計40万円の支払いを命じた。上司と会社の責任は認めなかった。

女性は2016年、職場の日本郵政グループ労働組合の歓送迎会で、同僚男性から性的な発言を繰り返される被害を受けたうえ、相談した上司に、逆に2人への謝罪を強要されました。
女性は県自治体一般労組に加入し、会社と団体交渉を重ねて謝罪と再発防止を求めたが解決に至らず17年に提訴した。

裁判後の報告集会で菊池真喜男弁護士は「メール、録音など客観的な資料がないなか、本人が書いた詳細なメモが認めれれた。同じ職場で働き続けながらたたかったことも大きい。勝訴と言える」と強調した。

原告の女性は「職場で話す人もいなくなり一人でつらかったが、支援者の皆さんに助けてもらいました。主張が認められてうれしい」と語った。

甲府市の教員 校長のパワハラ 公務災害 東京地裁

2019年8月

甲府市の教諭が好調のパワハラでうつ病を発症したのに公務外としたのは不当だとして、地方公務員災害補償基金に処分の取り消しを求た裁判。

裁判は小学校教員の深澤さんが2012年家庭訪問をした際、犬にかまれて負傷。深澤さんの対応に問題があったと抗議した保護者への謝罪を校長が強要したことでうつ病を発症した。
基金に公務災害を申請したが認められず、東京地裁に取り消しを求めた。

東京地裁は8月7日、「職務上の地位や人間関係などの範囲を超えて精神的苦痛を与える行為といえる」として、校長によるパワハラ行為があったと認定。基金に処分の取り消しを求めた。

被告の同基金が上告を断念したため、公債判決が確定した。

「訓練期間も雇用」 雇止め無効 KLMオランダ航空

 2019年8月

2014年3月にKLMオランダ航空に採用され、2か月の訓練を終え、14年の5月から3年契約を結んだ。その後2年の契約を更新し、5年間、日本~オランダ路線を乗務した。
3人は訓練期間を加えると雇用期間は通算5年を超えると指摘し、2019年1月に無期転換を申し込んだが会社はそれを拒否。ジャパンキャビンクルーユニオン(JCU)との団体交渉でも態度を変えず、2019年5月に雇止めを強行。労働者側は雇止めは無効として労働審判を申し立てた。
労働審判では訓練期間が雇用期間にあたるかが争点となった。労働者側は、会社が労働契約の枠内で訓練するよう改めた実態を指摘。

東京地裁は訓練期間が雇用にあたると判断し、雇止めを無効とし、無期転換を求める判断を出した。

淑徳大学 3人の教授 解雇無効   東京地裁

2019年5月

淑徳大学(本部・東京都板橋区)が、学部閉鎖を理由に教授3人を解雇した事件で、東京地裁(春名茂裁判長)は23日、解雇は無効とする判決を出した。

淑徳大学は2013年、埼玉キャンパスの国際コミュニケーション学部を17年3月末で閉鎖し、教員17名に対し、希望退職に応じなければ解雇すると迫った。

教員は15年3月、労働組合を結成し団体交渉を申し入れたが、大学側は交渉に応じずジグラーポール教授ら3人を解雇した。

大学側はポール教授らは学部限定の雇用であり解雇が許されると主張。判決は、財務状況が良好であり、3人は他学部の科目を担当できたこと、協議を真摯(しんし)に行っていないとして、「解雇権を乱用したものであり、社会的相当性を欠くものとして無効である」とした。

なお、団体交渉拒否は、東京都労働委員会、中央労働委員会、東京地裁で不当労働行為が認定されていた。

定年後再雇用、賃金大幅減は違法     福岡高裁

2018年3月

定年を迎える前に再雇用の条件として、賃金を退職前の約25%に減らすと会社が提示したのは不法行為だとして、福岡高裁が慰謝料100万円の支払いを会社側に命じる判決を出していた。判決は2017年9月にだされ、2018年1月に最高裁で確定した。

北九州市の会社で総菜の販売を女性は、2015年3月に定年を迎え、定年後もフルタイムの再雇用を希望したが、会社は定年前の約25%の賃金で、パートタイム勤務を提案された。
福岡高裁は、65歳まで働ける措置の実施を義務付けた、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度について「定年前後における労働条件の継続性・連続性が一定程度、確保されることが前提ないし原則」と明示。
賃金を定年前の約25%にまで大幅削減する会社提案に合理的な理由は認められず、「裁量権を逸脱または乱用したものであり、違法性がある」と指摘した。

一審の福岡地裁小倉支部は不法行為の成立を認めず、女性は控訴していた。